研究課題/領域番号 |
01440091
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質生物化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永井 克孝 東京大学, 医学部・医学科, 教授 (80072974)
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研究分担者 |
小山内 たか 東京大学, 医学部・医学科, 教務職員 (60126018)
辻 崇一 東京大学, 医学部・医学科, 助手 (90124677)
佐内 豊 東京大学, 医学部・医学科, 助手 (40150289)
岩森 正男 東京大学, 医学部・医学科, 助教授 (90110022)
NAGAI Yoshitaka University of Tokyo, Fac. Med., Professor (80072974)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | ガングリオシド / 癌遺伝子 / 子宮内膜 / ケラチン合成 / スルファチド / 硫酸基転移酵素 / Sulfotransferase / Lipokerachinogenoside |
研究概要 |
複合糖鎖の生理活性と遺伝子発現について総合的研究を展開し、以下のような研究成果が得られた。 (1)神経芽細胞腫細胞膜表面には神経突起誘導活性を持つGQlbガングリオシドに応答してリン酸化される三種類の蛋白質が存在していることを発見し、新しい糖鎖受容体主導のエクト型・シグナル伝達系の存在を示した。細胞内に侵入しないキナ-ゼ阻害剤を投与すると、このリン酸化活性は阻止されるとともに突起形成能が消失することを明らかにした。 (2)各種癌遺伝子DNAを細胞内に導入しガングリオシド代謝変化を調べ、遺伝子の種類に応じて糖鎖発現が特徴ある変化を示すことを明らかにした。核内発現型癌遺伝子であるアデノウイルス初期遺伝子EIAやmycによってGD3の発現が促進され、またレトロウイルス関連癌遺伝子src,fesfps,rasによってラクト糸ならびにガングリオ糸ガングリオシドが新たに発現されるようになった。 (3)排卵後の卵胞ホルモン刺激が加わったヒト子宮内膜分泌期においては増殖期に見られないスルファチドが極めて高濃度になっており、両期を通じて変化しないガングリオシドの陰性電荷に付加される形で硫酸基が増加していることが明らかになった。分泌期内膜から上皮性細胞と非上皮性細胞を分離し硫酸基転移酵素活性を調べると上皮性細胞にのみ活性が認められた、この時期の上皮は受精卵の着床に関与していることから新たに増量したスルファチドも着床に関与していると予想される。 (4)動物種を越えて哺乳類表皮に特徴的な分子としてNーOーリノレオイルwヒドロキシアシルスフィンゴシルグルコ-スを認め、その役割を明らかにするためにケラチノサイトに対する生理活性を調べたところ、ケラチン合成を促進することが明らかになった、その作用はホルボ-ルエステルと同様蛋白質キナ-ゼCを経る情報伝達システムで発現されていた。
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