研究概要 |
マルチショットパルスレ-ザ-顕微鏡がほぼ完成した。励超光源に4発バ-スト発振モ-ドのYAGレ-ザ-を使うと,数十マイクロ秒おきに4駒の蛍光画像を,各駒の露光時間8+1秒で撮影できる。ただし,多重反射を利用して露光時間を数倍にのばした方が,画質は良くなる。光源を連続発振のアルゴンレ-ザ-にすると,露光時間は最短100マイクロ秒必要になるが,そのかわり4駒の画像の間隔をそれぞれ全く任意に選べる。広い時間領域にわたる単発現象の解折に役立つ。シェ-ディング補正などの画像処理プログラムも完成した。現在,繰返し可能な現象の解折のために積算による信号/雑音比の向上を試みている。 上記システムの下で,リポソ-ムおよびウニ卵の電場による変形現象を解折した。膜に電気穿孔が起きる(膜抵抗が減少する)条件下では,リポソ-ム,ウニ卵とも,内液の導電率が外液より大きいと電場方向に伸びるように変形し,内液の導電率の方が小さいと電場と直角方向に伸びて偏平になる。この結果は,理論的にも説明することができた。リポソ-ムの場合は,変形だけでなく径数μmの大きな穴が可逆的に開くことをすでに見出しているが,さらに,穴が閉じた後数秒後にリポソ-ムから子リポソ-ムが生まれるなどの興味深い事実がみつかった。 三重項偏光解消に関しては,上記システムにより,顕微鏡下の燐光偏光解消測定に予備的にではあるが成功した。エオシン染色したアクチン線維の運動を見たものだが、まだ信号/雑音比が悪いので測定条件などの検討を行なっている。 アクチン線維中のアクチンモノマ-の配向についても,ミオシン上を滑走中の線維について良い偏光蛍光画像が得られ,滑走に伴う配向変化はあったとしても小さいことが示された。
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