研究課題/領域番号 |
01450004
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
植田 重雄 早稲田大学, 商学部, 教授 (60063210)
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研究分担者 |
加藤 智見 東京工芸大学, 女子短期大学部, 教授 (30139597)
堀越 知巳 早稲田大学, 商学部, 教授 (70063378)
谷口 龍男 早稲田大学, 第一文学部, 教授 (50063384)
峰島 旭雄 早稲田大学, 商学部, 教授 (00063355)
小山 宙丸 早稲田大学, 第一文学部, 教授 (10063348)
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キーワード | 文化変動 / 宗教の持続と変容 / ヨ-ロッパ化ルネサンス / 異文化との摩擦 / 受容 / 習合と拒否 / 反文化変動(Kontra akkultiuration) / 宗教意識の柔軟性 |
研究概要 |
本研究は特に日本およびヨ-ロッパにおける文化変動の過程を通して宗教の持続と変容の様態を探り、それによって宗教現象の基底的本質を明らかにするとともに、さらに全人類的宗教意識への微候を予見しようと企てる。 1.本年度は、平成元年の五島列島キリシタン調査を補完するため、7月下旬より一週間にわたり長崎・外海・平戸・生月地区への実態調査を実施した。生月において帳方の老人と面談し、隠れキリシタンにおける複葬儀礼などの融和的変容の実状を把えたことは特記される。 2.各分担者の研究実績を列記するなら、小山はキリシタンを中心としてキリスト教と日本文化との交渉・摩擦に知見を深め、峰島は大学教育における宗教の問題などを検討して近代化と反近代化の相剋を明らかにし、谷口はハシディズムと淨土真宗における出合い論を軸に宗教共存の可能性を認め、堀越はロマネスク直前十世紀ドイツの図像を分析してゲルマンのキリスト教受容過程を辿り、加藤は蓮如を借りて神仏習合の基層的宗教意識を追求し、田島は禅とドイツ神秘主義とを対話させて宗教体験の言語化の方向を究明した。最後に研究代表者・植田は民俗学的視点からキリスト教を受容したゲルマン習俗の変容とゲルマン遺習の発掘を調査するにとどまらず、その意味附与に焦実をあて、さらに本研究の全般にわたって文化変動と象徴体系にかかわる思惟との関係やその特質を明らかにした。 3.すなわち、ここの得られた知見とは、文化変動がその基底部位において宗教意識の変化と不変の力動的プロセスに読みかえられ、パラレルであるという認識である。如上の研究成果は、さらに統一的見解によって組織され、一そう整理された形で出版される予定である。それにはなお少しの期間が必要であろう。
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