研究概要 |
1.榮樂は大阪近代日本画の、塩田は大阪近代洋画の調査と研究を分担し、当該作家作品や文献等の基礎的な資料の収集等に努めた。 2.最終年度の研究報告書作成にあたり、榮樂は「大阪で開催の美術展覧会」、塩田は「大阪関係主要洋画家の比較」をテ-マとした。二人とも、同テ-マを年表にまとめることとし、概論的に述べることを避けた。何故なら、当研究課題に関する研究つまり大阪画壇の大系的な研究は、これまで行われたことがなく、まともな年表すら無いのが現状で、その是正の一助を意図するのが実績であると考えたからである。 3.榮樂の年表は、1868(明治元)年から1945(昭和20)年までに大阪府下で開催された美術展覧会の抄録である。展覧会は、日本画だけでなく、洋画、彫塑、工芸、建築などの展覧会まで言及した。併せて、同時期に大阪府下で組織されたり創設された美術団体、美術学校、美術研究所の事項も書き加えている。各展覧会の事項の内容は、展覧会名は言うに及ばず、会期、会場、一部については概要を記した。加えて各事項には必ず典拠文献の明示を欠かしていない。 4.塩田の年表は、主題を多く大阪に求めた洋画家の代表として、鍋井克之、国枝金三,小出楢重、黒田重太郎を取り上げた。同年表では、同四人の同年の事項が一目で比較できるよう配慮している。四人に関する事項は、単に画歴だけに限定せず、家族、住居、エピソ-ド等にも触れた。四人の<大阪らしさ>と対比させるために、大阪を代表する小説家の織田作之助の事項も四人と同年に参考として掲載している。
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