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1990 年度 実績報告書

近交系マウスを用いた利他行動の行動遺伝的研究

研究課題

研究課題/領域番号 01450015
研究機関滋賀大学

研究代表者

関口 茂久  滋賀大学, 教育学部, 教授 (40024905)

キーワード仔喰い系統 / C57BLアダルトマウス / Killer / NonーKiller / 同腹自仔 / 同腹他仔 / 子育て行動 / 利他行動
研究概要

本年度において実施した研究成果についての概要を以下に列挙する。
1。実験Aにおいては、仔喰い系統のC57BL雄アダルトマウスが自仔と他仔の匂いをどの様に区別するかをKillerとNonーKillerについて調べた。20日間の同居期間内に雌を妊娠させた雄マウス群,同居期間内に雌を妊娠させなかった雄マウス群とナイ-ヴの雄群を用意した。雄マウスは、同腹自仔、同腹他仔、異腹他仔のそれぞれについて、「匂いの識別テスト」が行われた。その結果、NonーKillerの雄マウスでは、同腹自仔よりも同腹他仔のいる選択部屋を有意により多く選択し、より長い時間滞在した。
2。実験Bにおいては、仔喰い系統のC57BLの雌雄のNonーKillerマウスが、同腹自仔と同腹他仔を識別することができるか否かを、仔の生後日齢について検討した。テストに用いられた仔の日齢は、出生直後と7日齢とした。結果は、同腹自仔に対する接触行動は、出生直後と7日齢において、統計的に有意ではないが短い潜時で行動を起こしたが、総持続時間に関しては、雄雌の親マウスは自仔より他仔の方に対して有意により長い時間匂いを嗅いだり嘗めた。仔の日齢別についても、有意な差が認められた。この差は、出生直後日齢の仔に比べて7日齢仔に対して雄親マウスの方が、同腹自仔より同腹他仔の方をより長い時間匂いを嗅いだり嘗めたりしていた。
3。以上の実験結果は、仔喰い系統のC57BLマウスの雄親が自仔を他仔から識別すること、その手がかりが仔の匂いだけでなく体をなける行動によって識別することを明らかにした。近交系マウスの利他行動は、遺伝的に仔喰い系統のマウスでは雌マウスは自仔と他仔を識別しないけれども、雄マウスは識別することから、雄マウスの子育て行動は血縁による利他行動の一種であることを実証することができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 関口 茂久・加藤 智美・菅野 優子&Wei Rong: "利他行動の比較心理学的考察" 滋賀大学教育学部紀要. (1991)

  • [文献書誌] 関口 茂久: "道徳性の進化、「新・人間機械論」" 株式会社ソフィア、東京. (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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