計画書で述べた8種類の随伴性を区別する考え方から、行動的随伴性の微視的過程を分析する手掛かりを得るための1つとして、以下の予備実験を行なった。大学生を被験者として、一定の反応率で反応すると、一定の時間あたりの強化量は等しいが、一方は強化の分布が一様であり、他方は密集している2つの選択肢間での選択場面の行動が分析された。その結果、個人内では一貫した選好が認められた。 行動的随伴性の巨視的過程を分析する実験のうち、加齢のもつ行動随伴性への効果については、本実験遂行のためのパラメ-タの決定が終了した。ウイスタ-系ラット26カ月齢2匹と5カ月齢3匹が被験体として用いられ、比率1、2、4、15、45、90の固定比率強化スケジュ-ルの下に終日さらされ、1日の反応数と強化数が調べられた。これらのデ-タから比率に対する消費弾力性を計算した結果、高齢ラットは若齢ラットに比べて反応数と強化数の絶対量は少ないものの、弾力性においての違いは特に見られなかった。今後は、別の年齢群の被験体を用い、1日の反応の自発パタンの分析を含めた比較を行なっていく予定である。 またハトのト-クン使用行動の形成については、ト-クン及び実験装置の開発と標準的手続きの確立の重点をおいて研究を進めた。試作と実験を繰り返した結果、ト-クンは軽量で、くわえるためには細長い枝状の部分が多い形が、また投入時の検出を容易にするためには金属材料を用いて実験装置に金属検知器を装備するという方法がそれぞれ適当であることが判明した。ト-クンをくちばしで運び投入口に投ずる行動は漸次的接近法を題いた順行訓練により形成することができたが、現時点では運搬中に不適切なト-クン操作が多く、運搬時間がかかり過ぎるといった問題が残っていて、装置の変更を含めた検討が進行中である。
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