ハトによる実験 本年度は通常のスライド・プロジェクタ-を刺激装置とした個体弁別及びスチルフロッピ-カメラによる静止画像での同種弁別の実験を行った。その結果、個体弁別は可能であるが、人間の観察者によるハトの個体弁別と比較して特に優れていない事、見分けがつきやすい個体弁別(頭部の斑の相違)では弁別に個体差が見られないが、見分けが困難な場合には弁別手がかりの個体差が認められた。個体弁別後に外線条体の両側破壊を行うと、弁別行動に障害が見られたものの、再学習は可能であった。フロッピ-カメラによる同種弁別では弁別形成後に他種のトリへの般化及びモノクロ画像への般化を検討した。その結果、他種への般化は一定に認められたが、モノクロ画像への般化は認められなかった。弁別形成後にIMHVの両側破壊を行ったが、顕著な弁別障害は見られなかった。 マウスによる実験 本年度はマウスによる予備実験を行った。Y迷路を用いた実験では充来本研究室で得られていた結果を支持するデ-タが得られた。更に条件性場所学習をモルヒネにより行った所、顕著な個体弁別が短期間で形成できる事が分った。この場合でもマウスは個体の弁別を行っており、同腹他個体への般化は認められず、同系統他個体への般化も見られなかった。この結果もY迷路の実験結果を支持するものである。
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