昨年度は、(1)基本的睡眠生活習慣(睡眠時間、睡眠障害の有無など)を評価するための点字による調査紙を試作した。また、(2)日常生活場面での睡眠構造を客観的・量的に評価するため、テレメトリ-方式による終夜睡眠ポリグラフ(脳波・筋電図・眼球運動など)記録システムを構成し、日常場面での記録、実験室での再生が可能であることを確認した。 今年度は、(1)点字による質問紙の不備を改良するのに加え、カセットテ-プを利用した調査システムを考案した。現在、予備的な調査を健常者及び視覚障害者を対象に実施している。また、(2)昨年度に構成した終夜睡眠ポリグラフ記録システムを用い、7名(女性1名、男性6名)の視覚障害者を対象に、3夜連続の終夜睡眠ポリグラフ記録を訓練施設内のベッドサイドで実施した。7名のうち6名の睡眠ポリグラムを分析した結果、4名で深睡眠である徐波睡眠の出現量が健康晴眼者に比べ低い値を示した。2名では健康晴眼者のそれとほぼ等しかった。脳波的睡眠段階の出現量などの睡眠変数と失明経過年数、光覚の有無などと一貫した関連は見られていない。来年度は、(1)点字、カセットテ-プによる基本的睡眠生活習慣調査を数百名の対象者に行い、その分析とまとめを行う、(2)睡眠ポリグラフ記録では、さらに被験者数を増やし、終夜睡眠構造の詳細な分析を行い、視覚障害との関連からその睡眠構造の心理・生理的特徴をまとめる予定である。
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