研究概要 |
本研究の目的は、大都市の郊外住宅団地という特殊な居住環境が、その居住者の生活や人間関係等にどのような影響を及ぼしているか、また造成後数10年を経過したこんにち、それはどのように変質してきているか等の問題を、新旧2つの住宅団地を調査対象地として選定し、それを社会学的視点から組織的・総合的に研究することにある。 平成2年度(第2年次)の研究は、北海道で最も古く造成された札幌市真駒内団地(約13,000世帯)を対象に、約10項目にわたる生活事象を中心に調査したものである。その結果は目下整理分析中であるが、幾つかの事項について興味ある知見を得た。以下その中から2、3の点についてのみ述べることにする。 1.郊外住宅団地居住者の地域的特徴と社会的特性 居住者の地域的特徴は、大別すると3つになる。1つは中層集合住宅地区、2つめは戸建住宅地区、3つめは混合住宅地区である。このうち第1の中層集合住宅地区の居住者は、大半が社員や公務員の転勤族によって占められているためモビリティがはげしく、したがってコミュニティ意識が極めて弱い。しかし子供の教育については関心度が強く(特に本社が関東・関西にある会社社員の場合)、PTA活動への参加は積極的である。概して戸建住宅地区の居住者は居住歴が長く、したがってまたコミュニティ意識が極めて強い。 2.戸建居住地域の住民には高齢者が多く、その点ではシルバ-タウンの特性が現われはじめている。 3.この住宅団地の自然環境はすべての面で優れているが、しかし近時、社宅団地の空屋を利用しての青少年の非行行動が顯在化しており、郊外住宅団地に新しい問題を生むに至っている。
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