研究概要 |
本研究の目的は、大都市の郊外住宅団地という特殊な居住環境が、その居住者の生活や人間関係等にどのような影響を及ぼしているか、また造成後数10年を経過したこんにち、それはどのように変質してきているか等の問題を、新旧2つの住宅団地(花川団地と真駒内団地)を調査対象として選定し、それを社会学的視点から組織的・統合的に研究することにある。 新旧2つの団地研究では、約10項目にわたる生活事象を中心に調査を行ない多くの興味ある知見を得た。結果の1部はなお整理分析中であるが以下2,3の点についてのみ報告する。 1.郊外住宅団地居住者の定着性と移動性 居住者の地域構成は大別すると3つになる。1つは戸建住宅地区、2つ目は中・高層集合住宅地区、3つ目は混合住宅地区である。このうち第1の戸建住宅地区は定着率が極めて高いが、第2の中・高層集合住宅地区においては年率4.1%から20.7%に至る移動率を示しており、したがってコミュニケ-ション意識が他地区に比べ弱い。 2.郊外住宅団地の高齢化現象と社会問題の顕在化 定着率の高い戸建住宅地区に高齢者の多いのは当然であるが、中高層集合住宅地区にも高齢者が極めて多い。特に古く造成された真駒内団地において著しく、830戸を容するG団地では独居老人世帯を含む老人世帯率は18.7%、1,240戸を容するA団地では23.2%に及び、その構成も夫婦のほか、姉と妹、姉と妹、母と娘、母と息子、祖母と孫など多種多様であり、水道やガス、電気やゴミ処理など日常生活において様々なトラブルを生ぜしめている。 3.古く造成された郊外住宅団地は、今建替え期に至っており、駐車場問題、空屋における青少年の非行行動など、問題が多発している。
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