研究課題/領域番号 |
01450024
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田原 音和 東北大学, 教育学部, 教授 (30004104)
|
研究分担者 |
水島 和則 東北大学, 教育学部, 助手 (00219627)
坂根 治美 東北大学, 教育学部, 助手 (40187026)
佐藤 直由 山形大学, 教養学部, 助教授 (00125569)
秋永 雄一 東北大学, 教育学部, 講師 (90212430)
不破 和彦 東北大学, 教育学部, 教授 (60004115)
|
キーワード | 社会学の制度化 / 講座 / 諸学問との交流・論争 |
研究概要 |
主として近代大学における社会学講座の制度化に焦点をおいて研究を進めてきたので、その点を中心に概括しておきたい。 (1)1983年にフランスでR.ウォルムスが国際社会学会を、1903年にJ.ブライスがイギリス社会学会を、1909年にテンニエス、M.ウェ-バ-、ゾンバルト、ジンメルがドイツ社会学会を興す。各国とも社会学は講座として大学にはまだ定着しておらず、社会学は学際的な学問としてマ-ジナルな地位にあり、上記の各国社会学の設立の動き、その主要な担い手、研究活動の内容などには非常に大きな差異がある。 (2)イギリスではL.T.ホブハウスが1907年にロンドン大学のマ-チン・ホワイト講座で社会学を講義するが、当初は社会哲学の講義であった。彼自身によって社会学の輪郭が明確化されるのはもっと後であり、彼を取り巻く諸学者、たとえばウェッブ夫妻、G.ウォラスらとの交流が社会学の制度化に大きな影響を与えた。 (3)スランスでは、ウォルムスらの国際社会学派が社会哲学的傾向を強めたのに対して、デュルケムはボルド-大学の「社会科学」講座と『社会学年報』を拠りどころに、社会学の大学知識としての制度化を志す。そのため文学部と法学部、文学部内部の諸学問との交流・論争ーーとりわけ哲学・心理学とのーーが社会学を練り上げていく主要な要因となる。また、雑誌の定期刊行と学派の形成という点でも、フランス的な特徴を示す。 (4)ドイツでは、社会学の制度化は1910年代に入っても十分に進まず、テンニエスがキ-ル大学で社会学の講座で講義をするのは1921年(名誉教授として)からである。ハイデルベルクのウェ-バ-、シュトラスブルクでのジンメルは、いずれも大学での制度化に問題を投げかけている。 以上のように、社会学の制度化は各国によって多様な形態と実質を持つことの一端が明らかになった。
|