研究課題
本年度は社会福祉行政組織を地域住民に直接。対応して社会福祉活動を実施する機関つまり福祉事務所の組織に限定し、その実態の把握、資料蒐集に重点をおいて調査研究を行なった。調査事項は、福祉事務所の地方行政組織における位置、福祉事務所組織の推移、その組織的構造、福祉事務所の管掌業務、その実施に当る人事組織と資格要件の状況、業務の実施状況、実績の推移などである。調査対象は青森県、山形県、東京都小平市、長野県、新潟県、岡山県、広島県、山口県の県福祉事務所、市福祉事務所である。この結果の概要は次の通りである。1.福祉事務所組織の推移について (1)福祉事務所制度が発足時(昭和26年)に必らずしも単独の地方行政機関として創設されていなかったこと(つまり単独のもあれば既存の機関の内部組織の一つであったこと)(2)昭和30年以降、全国の統一的な組織となったこと、(3)町村合併による自治体再編成により管轄地域の人口に不均衡が生じたこと2.福祉事務所組織について (1)発足当初、管理部門、現業部門の2課ないし3課制であって現在も、この体制が継続している傾向が強いこと、(2)社会福祉関係諸法の実施に伴なって多少の変革が見られ、更に昭和50年代以降、地域福祉などの新しい部門が設置されていること(3)職務配置は、発足時、福祉採用による例が多かったが、一時減少したものの最近、再び福祉職採用が見られてきていること。3.実施結果について (1)生活保護業務に重点をおいた活動が強いこと、(2)行政の実績としては生活保護費が大きく減少し他つ社会福祉活動に増加が見られていること4.社会福祉行政組織の改革について (1)全体に福祉事産所改革は少ないこと (2)生活保護重点から業る動きが見られていること。