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1 企業組織変動と社会変動の関連を捉えるモデルとして、組織社会学において近年注目されている個体群生態学モデルをとりあげ〔計画5に設定した〕コンピュ-タ解析を通じて、その特徴の把握につとめた。その結果、日本の工場組織をとりあげる場合は従来個体群生態学モデルの前提として考えられてきた業種の不変性については大きな修正をしてモデルを構築する必要があることがあきらかになった。
2 各地方ごとの地域産業振興政策、情報化政策、中小企業の倒産防止政策等についても資料収集とインタビュ-調査を重ねた。その結果、現在のような組織環境の激変期には、組織が新しいほどその組織は失敗しやすいという「新しさの脆弱性」の仮説が必ずしもあてはまらないという印象を得た。
3 現代日本におけるいわゆる「東京一極集中」の説明として、地方が産業化段階からポスト産業化段階へ以降する際に生じる「新しさの脆弱性」の逆転現象を仮説として提示できる。つまり先進地域がポスト産業化に移行し終わって、後進地域がポスト産業化に移行しはじめた段階では、先進地域では「新しさの脆弱性」が存在し、後進地域ではそれが逆転するために先進地域の組織と後進地域の組織との間の相対的格差の拡大が加速されると考えられる。
4 上記の仮説の検証に必要なかたちの資料が保存されている場合は少なかったが、いくつかの県については、何とか使えそうなデ-タを得ることができた。また、企業に関するデ-タとして東京商工リサ-チの『東商信用録』が使用可能であり、特に沖縄県に関して18年間にわたり刊行されたものをすべて入手できた。来年度はこれらのデ-タをもとに、分析を深めていくよう計画している。
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