研究概要 |
学校教育においてはすべての子どもにその最大限の発達がはかられるのが理想である。しかし現実には,多くの子どものなかにはその知的発達の度合いに差があることも否定できない。したがって画一的な教育水準を設定してそれに子どもをあてはめようとすることは教育上適当でない。適切な指導および子どもの優秀な素質と努力が学習の成功をもたらすのではあるが,他方,種々の理由で遅れがちな子どもに対しても学校教育においてそれにふさわしい指導が必要である。 フランスの学校は,正規の教育指導との関連において優秀児と遅進児の指導を適切に行っていることで知られている。日本でも最近「個性重視の教育」が論じられているが、この観点で長年の経験をもつフランスの実態を明らかにし、その知見を日本の教育の改善に資することを目的とする協同研究組織を設けた。 具体的にはフランスにおける支援学習(soutien)・深化学習(approfoundi),および学習リズム(rythmescolaire)の実態を究明することとした。 報告書には,普通教育における優秀児と遅進児に関する若干の考察として,とくに学習障害児をめぐる問題を分析したものと,学校教育と英才教育の分析,および主要関連文献・統計を掲載した。
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