研究課題/領域番号 |
01450050
|
研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
篠原 徹 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助教授 (80068915)
|
研究分担者 |
安室 知 横須賀市人文博物館, 学芸員
橋本 裕之 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助手 (70208461)
小野 正敏 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助教授 (00185646)
上野 和男 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助教授 (80062008)
福田 アジオ 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 教授 (60120862)
|
キーワード | 環境 / 民俗的認識 / 民俗技術的適応 / 水環境 / 風土 |
研究概要 |
環境に関する民俗的認識と民俗技術的適応という研究題目はこれまで対象を生物を限って研究されてきた傾向がある。この研究では生物的自然を巡る亜熱帯とブナ帯という異なった自然に対する伝統的没術の適応的側面も当然注意をはらいながら、従来あまり注目されてこなかった土壌的環境や水環境に中心をおき、その相違を調査したきた。特に亜熱帯地域の典型として設定した黒島という島社会では集落をどの位置に作るかということが島の中で湧水する井戸と深い関係があることが分かり西表から海底送水する以前の島社会における湧水を巡る慣行が島社会の歴史・文化的な適応として大きな意味を持つことが判明した。中国からの風水思想の影響がみられ亜熱帯という自然環境の中で変形してそれが受容されていることも判明した。また島の中に残る明和の大津波で破壊された村落の遺構の調査をすることができ、それによって村落の平面プラン、豊富な遺物からどのように現在の村落形態になってきたか類推することができた。環境に対する民俗的適応の典型として大きな成果を挙げることができたと考えている。また瀬戸内海の寡雨地帯における溜池が水田に共給する水ばかりでなく、この地帯における伝統的生活の中で重要な蛋白源として養魚するという側面を持っていることか判明し、稲作文化のなかでの蛋白供給に対する積極的適応の多様性を傍証することができた。水環境に対する民俗的適応はその地域の風土を考える上で欠かすことのできない要素になっていることが分かり、今後風土の重要な指標であると考えられる。
|