研究課題/領域番号 |
01450056
|
研究機関 | 大阪外国語大学 |
研究代表者 |
松田 武 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (20093495)
|
研究分担者 |
森藤 一史 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10110793)
小野 清美 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60126844)
阿河 雄二郎 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80030188)
田中 仁 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60171790)
西村 成雄 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (60030160)
|
キーワード | 世界システム / 国民統合 / 覇権 / 関係史 / 労働力移動 / 金融 / 相互依存 |
研究概要 |
本年度を通じて当プロジェクトは、学外講師を招いた研究会と三度開催するとともに、プロジェクト参加者による学内研究会を四回開催し、活発に研究活動を展開した。その成果の一端は、各々の参加者が発表した論文および著書に反映されている。ここでは研究会自体の概要を記して報告にかえることとしたい。 まず学外講師としては、一橋大学の油井教授、茨城大学の石島教授、大阪大学の川北教授をお招きし、各々の専門領域の観点から「世界システムと国民統合」について報告していただいた。油井教授は、特にアメリカ合衆国への移民問題を、移民を引き寄せる側と移民を出す側との相関という「世界システム」的観点から把握する必要を強調された。また石島教授は、中国の貨幣改革が世界各国の交渉の中で実施されたこと、中国の政治的発展が国際関係によって枠づけられていた点を指摘された。また川北教授は、オランダとイギリスの覇権交代のプロセスにスポットをあて、その対立が実は相互依存的なモメントを含んでいたことを分析され、「世界システム論」の意義が比較史的手法から関係史的視角への転換にあることを明らかにされた。全体として、「世界システム論」の方法的意義が深められたと同時に、特に労働力移動や、金融関係に分析の重要な論点があることが明らかとなった。しかし同時に従来の比較史的研究との総合化が更にはかられなければならないことも課題としてうかびあがっている。 学内の研究会では、ム-アの比較史的な世界史研究と、フランス革命研究の動向に全員で改めて検討を加え、個別の各国史研究と世界史的観点との接合のあり方について認識を深めた。最終的成果は、研究論集にまとめられる予定であるが、そのための方法的、問題意識的な土台が築かれつつあると思われる。
|