研究課題/領域番号 |
01450060
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研究機関 | 東京国立文化財研究所 |
研究代表者 |
西浦 忠輝 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 主任研究官 (20099922)
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研究分担者 |
肥塚 隆保 奈良国立文化財研究所, 埋文センター, 主任研究官 (10099955)
川野辺 渉 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 研究員 (00169749)
青木 繁夫 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 室長 (60088797)
三浦 定俊 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 室長 (50099925)
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キーワード | 石質遺跡 / 保存 / 新技術 / 有機ケイ素樹脂 / 注入含浸 / 撥水層 |
研究概要 |
水を絶つことにより石質遺跡の保存を目的に、石と同じ成分で石と化学的に反応結合しかつ強力な撥水性を有する有機ケイ素樹脂を、石質遺跡のすぐ内側の岩盤中に常圧で注入含浸し、遺跡の内側(裏側)に強力な不透水層(厚く均一な撥水層)を形成させることにより、遺跡部への地中水の浸入を阻止して、その劣化を防止すると伴に遺跡部を乾燥状態にして、強化処置(表面からの樹脂含浸処置)を容易かつ効果的にする方法について実験的研究を行っている。本年度行った研究活動およびそこから得られた知見は次の通りである。 1.実験場所として福島県相馬郡小高町、史跡・薬師堂石仏近くの岩崖を選定し、その石質、劣化状態、劣化原因、水の動向について現地調査を行うと伴に、温度、湿度の継続測定を開始した。又、石材ブロックサンプルを採取し、その基本物性(比重、空隙率、強度等)を調べた。 〈知見〉岩質は多孔質、脆弱で、雨水が極めて浸透し易く、冬期の凍結破壊を受け易い状態である。 2.実験場所において、有機ケイ素樹脂の常圧含浸施工を行い、施工上の問題点を調査、検討した。又、施工後の状態変化を定期的に調査している。 〈知見〉岩の含水率が極めて高く、そのため脆弱な岩質であるにも拘らずドリルで孔をあけるのはそれほど容易ではない。しかし、高含水状態でも有機ケイ素樹脂の浸透は悪くなく、繰り返し注入することにより充分な量の含浸が得られた。処置後すぐに岩層の乾燥現象が観察され、現在徐々に乾燥が進行しているところである。
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