1.今年度は先ず何よりも、この貴重な資料が十分に整理されぬまま保存され、しかも年月の経過によって保存自体が危くなっていることにかんがみ、これらを A.安全かつ長期的に保存するための処置をとること。 B.資料を広汎な研究者の利用に公開し得る形に整理すること。 の2点に最大の重点を置いた。そのための具体的措置として、 イ.資料全体をマイクロ・フィルム化した(保存用ネガ1、日常的利用のためのポジ2、各12リ-ル)。 ロ.マイクロ・フィルムとの対応が明示された資料目録を作成した。この作業は予想以上に手間と時間を必要とする作業で、まだいくつかの問題点を残しているが、ほぼ完成の見通しを得るに至っている。 ハ.原資料そのものが従来は大体の分類ごとに紙袋に入れられた形であったものを、資料ごとにクリア・ファイルに収め、目録と対応する索引番号をつけた。 ニ.資料のうち、研究上の利用度が高いと思われるものについては、マイクロ・フィルムからプリントアウトし、原文を見易い形にした。 ホ.手書きで難読の資料についてはワ-プロ等により活字化した。ハ及びニについては未完了の部分を残すが、研究・保存両面で改善された。 2.この時期の鹿地亘の足跡について、中国の研究者の協力も得て、かなり詳細な年譜を作成することができた。これにより資料の性格が判明したものもあり、まだいくつか解明を要する点は残すが、最大限望み得る年譜ができる見込みである。
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