本年度は研究のまとめの年であったので、前年度に引き続き、つぎの二項がまず目標とされた。 1.鹿地亘資料自体の整理の完了。 2.鹿地亘資料目録の完成。 前年度までに、資料を保存と利用に堪える形にすること、すなわちマイクロ・フィルム化と、個々の資料を、一つずつクリアファイルに収める仕事を終え、内容の検討を進めていたが、個々の資料の検討が進むにつれて、前年度までの資料の整理(個々の資料の作られた年代の確定、性格の分析、それに基づく分類等)に不正確な部分が残っており、一応作られていた目録にも誤りや不適切な個所が多いことが明かとなった。そのため、個々の資料の根本的再検討と、それに基づく資料目録の抜本的作り直しを行った。その結果、1.2.については、一部になお解決すべき疑問を残すとはいえ、ほぼ目標を達成し、本資料の保存・活用のための基礎的条件を整えることができたが、上記二項に予想外のエネルギ-を費やさざるを得ず、本研究着手前にはむしろ中心問題と考えていた、文学関係資料の検討・位置づけの完成は、今後の課題として残さざるを得なかったことは、遺憾であった。 また、資料を検討するうちに、当初から目的の一部でもあった 3.当時を中心にした鹿地亘の正確な年譜の作成。 4.鹿地亘の回想録類の誤り・矛循の検討。 5.当時の状況、特に鹿地についての中国側の資料との比較・対照。等が、資料の年代の確定、その性格の検討等のためにも不可欠であることが明らかになり、この点についても作業を進め、ほぼ見通しを得た。より完全なものにするためまでには、もう一歩の努力と時間が必要とするが、遠からず発表できる予定である。
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