研究課題/領域番号 |
01450064
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高田 康成 東京大学, 教養学部, 助教授 (10116056)
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研究分担者 |
山本 史郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (00145765)
鈴木 英夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (90109215)
原 英一 東北大学, 教養部, 助教授 (40106745)
高橋 和久 東京大学, 教養学部, 助教授 (10108102)
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キーワード | 政体 / 立憲制度 / 共和制 / 君主制 / 主権 / 自然権 / ヴァ-チュ- / フランス革命 |
研究概要 |
政体論については、立憲制度の歴史に即して見みることが効果的と判断しまず十四〜五世紀の政治理論家サ-・ジョン・フォ-テスキュ-の思想を検討した。その結果、英国固有の君主政体と伝統的なアリストテレスの政治論との関係が重要であることが分かり、「ヴァ-チュ-」という言葉を主な手がかりとして、チョ-サ-を中心とした同時代文学との関連を探った。ルネサンス期の政体論としては、ヨ-ロッパ大陸の思想の影響とその受容が問題となり、具体的には、リヴィウスとキケロにまつわる政治思想の輸入と、英国におけるいわゆる「混合政体」理念の把握が欠かせないことが分かり、まずキケロ受容に関して基礎的な考察を行った。この問題は、見方を変えて言えば、宗教改革に発する「主権」の議論と、ルネサンスに発する「共和制対君主制」の議論の接点をどうするか、ということに帰着し、政治史ではある程度整理がついていることが明らかになった。その文学における効果について、シェイクスピアを中心に若干の考察を行い、この問題が重要な主題を形成していること、そしてまた、いわゆるエリザベス朝とジェイムズ朝の様々の面にわたる相違が「文学における効果」を複雑にすると同時に興味深いものにしていることを確認した。この問題はさらに十七世紀の内乱を経て歴史的に顕在化するが、それを我々は主にトマス・ホッブスを中心に考察した。その際、政体論に絡んで新しく「自然権」の問題が浮上した。内乱後の王政回復・「権利章典」から十八世紀末のフランス革命にいたる世紀の政体論と文学の問題は、デイヴィド・ヒュ-ムとエドマンド・バ-クを軸に考察を進めたが、その際、抽象的な概念が如何にイメ-ジとして心象化されたかを注意した。その結果、フランスにおけるような「理性」の視覚化・心象化がバ-クの体現する英国の伝統には希薄であることが分かった。
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