研究課題/領域番号 |
01450070
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
轡田 收 学習院大学, 文学部, 教授 (90051325)
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研究分担者 |
川口 洋 学習院大学, 文学部, 教授 (60080412)
村田 経和 学習院大学, 文学部, 教授 (10080417)
早川 東三 学習院大学, 文学部, 教授 (00080416)
岩淵 達治 学習院大学, 文学部, 教授 (40080410)
橋本 郁雄 学習院大学, 文学部, 教授 (90080415)
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キーワード | ドイツ世紀末文化 / 文化受容 / ワイマ-ル文化 / ナチズム / 大衆文化 |
研究概要 |
本年度の研究の重点は(1)世紀末のベルリンとミュンヘンにおける知的アウトサイダ-の成立とフランスにおけるそれとの共通性の比較検討。(2)同時期における戯曲およびその上演方法の変化に見られるモダニズムの影響。(3)体制批判的哲学と知の制度化との関係。(4)辞書の製作と教養の大衆化に見られる専門家言語と日常言語の乖離現象の分析。(5)専門家文化と大衆文化の分化が文学・思想および日常意識にもたらした影響の分析。以上の五点であった。この五点に関して以下の知見が得られた。 (1)ドイツとフランスの都会的ボヘミアンの比較から、ドイツにおけるモダニズム芸術の受容には一種の歪みが見られることが明らかになった。この歪みは文化の非同性時に由来するものであり、〈過去志向〉という形態をとることが多い。ここに「ドイツの特殊な道」を導く要因がある。(2)この傾向は戯曲作品においても認めることができる。(3)体制批判的哲学が次第に講壇哲学化されていく過程と、逆にアウトサイダ-文化に影響を強めていく過程とは「制度化」の両側面として捉えられる。(4)辞書の作製と教養の大衆化および言語政策に関しては、当時の教科書から語彙や文体の傾向をピックアップしてデ-タ化した。このデ-タ整理と分析は来年度の課題となる。(5)専門家文化を大衆文化と乖離および相互媒介に関しては、ハ-バ-マスの述べるような「知の分化」の図式では必らずしも捉えきれないことが明らかになった。むしろ両者の媒介過程に生じる社会的近代化と文化的モデルネの相克・干渉の様々な様相をまずは記述していくことが必要であると思われる。近代化の過程の再構成という見地からは、マクス・ウェバ-およびハ-バ-マスの示す「分化」の理論枠を、「相互媒介・相互作用」という観点から再検討が可能であるという認識が得られた。
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