研究概要 |
本研究の目的は、イランにおける女性の生活、習慣、教育、信仰、思想などに関する資料を収集し、テキストの中からいくつかを選んでデ-タベ-ス化して、広域的にイスラ-ム,イラン関係の研究者の利用に供することであった。したがって初年度はまず分析すべき資料について検討し、11世紀に記された長編叙事詩『ヴィ-スとラ-ミ-ン』を選出した。当資料はイラン女性の社会的地位や情況を比較的詳細に描写したものだからである。しかもイラン人が伝統的に教養とし、精神的支柱としているペルシア文学作品であるという点にも注目したからである。テキストは8908対句すべてがテキストファイル形式で入力され、これによって次年度には、ペルシア文字の印字ソフト,各種処理ソフトの完成を見ることができた。デ-タベ-ス化された資料は1、語彙の頻度表、2、用語索引、3、全テキストのペルシア印字、などという結果を得ることができ、これらの資料はすでにペルシア関係の研究者、学生などに利用されている。なお、本研究の途中、合わせて本資料の全訳を完成し、1990年4月に平凡社より出版することができ、本資料の分析、研究にも資することができたことは望外の喜びである。 本研究の機械処理の成果について言えば、限られた環境下で、機械処理はアマチュアの文科系研究者が、いたって低い物的、人的コストでまがりなりにも一つの成果を得たことに価値があるといえよう。猶、本研究の成果であるペルシア語デ-タベ-ス、各種プログラムは、すべて公開可能であり、著作権が侵害されない限りにおいてあらゆる対応が可能であることを付記しておきたい。
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