研究概要 |
今年度は,三年計画の最終年としてのまとめの作業と,第二波の調査票による調査実施と分析の作業との両方に取り組んだ。第二波の調査は一昨年度と同様に全国四地域において四〇〇〇人余りを対象に実施された。第一波調査の結果と昨年度の集団面接の結果を生かした小規模な改訂が調査票に加えられた。しかし,年度当初に予想されていた海部首相の続投が秋になって急に不透明になり,自民党総裁選を待たねば調査実施時の首相が分からない状態となった。このことにより,調査票印刷の実行が延期された。また,連日かつ長期にわたってマスコミで政界の政治資金疑惑が取り上げられ,「政治的指導者に対する愛着や評価」「政治に対する信頼や期待」などについての質問を多く含んだ本調査に対する学校側の対応が極めて慎重となり,調査への協力を得るのに時間を要することとなった。その結果,調査の実施は無事行うことができたものの,実施時期が遅れて今年度分調査の結果を分析する時間が極めて窮屈になった。よって,研究成果報告書作成の延期を申請することとした。 反面,これまでの分析結果に基づく研究発表は活発に行われた。研究代表者はアメリカ合衆国ウィスコンシン大学政治学部において研究発表を行い,今年度当初に同国ウィスコンシン州内で実施した共通調査票による調査の分析枠組みを提供した。また,同人は九月にオックフォ-ド大学において行われた国際シンポジウムで,「日本の子供達の政治的な面での“生活の質"」を発表した。これは今年夏に英国において公刊される予定である。また,今年四月には日米調査の比較分析の結果を「日米の子供達の政治的な信頼,政治的有効性感覚,楽観性の比較研究」としてシカゴ市で開かれるアメリカ中西部政治学会で発表予定である。(J.デニス教授他と共著。)研究分担者中島も,十月に日本教育行政学会で「政治と教育行政ー教科書内容の定着をめぐって」を発表した。
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