研究概要 |
前年度行った「情報化」に関する理論的検討を踏まえて,本年度はモデルの構築とそれにもとづく実証分析を行った。 具体的には「情報化」をマクロ経済的に分析するために、情報財およびそれを生産する情報産業を定義し、その定義にもとづいて現在の産業連関表の産業分類を再分類し直した上で,情報産業,情報支援産業(コンピュ-タなどの情報機器を生産する産業),非情報産業の規模を計測した。計測期間は,産業連関表のデ-タを基礎にしているため,1975年,80年,85年の3時点である。 計測結果から,次の諸点が明らかになった。 (1)現在「情報化」と呼ばれているものの実態は,情報支援産業の急激な成長であって、ソフトウェア等に代表される情報財そのものを生産する産業は規模的にも,成長率の上でもそれほど大きくはない。 (2)その最大の理由は,多くの情報活動は組織内で行われており,それらは市場では評価されないからである。 このような結果ないしは知見を踏まえて,今後の研究の方向として,組織内の情報活動を何らかの形で評価できるような枠組みを考えるべきこと,そしてそのためには,単にマクロ分析だけではなくて,ある程度ミクロ,すなわち個々の産業ないしは企業にまで降りた分折を目ざすべきであることが明らかになった。
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