研究概要 |
1.我国の住宅・土地市場について、制度的背景,税制,歴史的経緯,及び現状の整理を行い、今後の政策上の課題を検討した。 2.土地開発の動学モデルを用いて、地価税,国定資産税,遊休地課税,及びキャピタル・ゲイン税が土地開発のタイシングにどういう効果を与えるかを検討した。第一に、開発が一種類のみの時には以下の結論が得られた。(1)地価税は開発時期を早めも遅らせもしない。(2)固定資産税は開発時期を遅らせる。(3)遊休地税は開発時期を早める。(4)実現ベ-スのキャピタル・ゲイン税は開発時期を早める。これはキャピタル・ゲイン税がロック・イン効果を持つという伝統的な考え方に疑問を投げかけるものである。第2に、開発のタイプの選択ができる時には、地価税の中立性は失われ、地価税は開発費の低いタイプの開発を選択させるようになり、開発時期を早めることになる。 3.農地の市場、特に田の市場がweakーform efficientかどうか検討した。得られた結果は、市街地化が進んでいると思われる大都市圏を除けば、概ね農地の市場はweakーform efficienであることを示唆している。これに対し、市街地の市場では圧倒的にweakーform efficiencyは棄却される。このことは、日本の土地市場が全体としてinefficientではなく、市街地の土地市場がinefficientであることを示する。 4.集計されたデ-タではなく、個々の土地についても効率性がいえるかどうかを、東京都23区の個別土地のデ-タを用いて検討した。結果は、semiーstrong form efficiencyは成立していない可能性を示唆している。
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