研究課題/領域番号 |
01450087
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
冨岡 倍雄 神奈川大学, 経済学部, 教授 (80078279)
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研究分担者 |
丸岡 洋司 神奈川大学, 国際経営研究所, 所員
新納 豊 大東文化大学, 国際関係学部, 助教授 (10189235)
後藤 晃 神奈川大学, 経済学部, 教授
中村 平八 神奈川大学, 経済学部, 教授 (10078280)
海道 勝稔 神奈川大学, 経済学部, 教授 (60078342)
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キーワード | 外国人労働者 / 西太平洋地域 / ジャパユキサン / 出稼送金 / 三K産業 / 不法労働 / 国際労働力移動 / タイ |
研究概要 |
平成2年度の研究は次の2点に重点をおいて実施した。 1.外国人労働者の動向、とくに1988年以降について、統計的分析、実態調査を継続して行ない、首都圏と京阪神地区を対象に中小企業や官庁、経営者に対して聞き取り調査を実施し、外国人労働者に対しても聞き取り調査をおこなった。その結果次の結果を得た。(1)外国人労働者は従来の風俗産業・女性の就業から、第二次産業中心・男性の就業に大きく変化している。さらに、第一次産業への就業が増加の兆しを見せている。(2)中小企業のいわゆる三K産業の労働力不足が深刻化し、この部門への就業が増加している。しかし、熟練労働を必要とする部門へは就業していない。(3)外国人労働者の国籍が多様化し、国別の就業が組織的に行なわれている。労働者を徴募する国内および国外の組織を通して入国し、企業に集団として雇用される場合が多い。(4)就業地域が全国的な広がりをみせている。風俗産業では特定の都道府県に集中していたが、首都圏と建設など第二次産業の中小企業の分布している県で広く就業する傾向が強まっている。つまり、日本の産業構造と就業構造との今日的な特質に対応した形で、外国人労働者の雇用も構造化していることが明らかにされた。 2.労働力送出をアジア諸国の経済・社会構造からそのメカニズムを明らかにした。アジアの工業化にともなう社会変動、とくに都市化、農村の変容、所得格差と海外出稼ぎの関係、出稼ぎによる送出国の抱えた問題を研究した。その結果次の点が明らかになった。(1)農村からの出稼ぎは、農村から都市への出稼ぎの延長としてある。(2)出稼ぎ者は農業や第三次産業への投資資金の獲得およびより豊かな生活という積極的なものが多い。(3)農村社会の共同体的関係を崩す作用をしている。(4)送出国に熟練労働者の不足という問題を生起させ始めている。
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