研究概要 |
本研究は、日本の自動車産業で採られているコスト・マネジメントのシステムないし技術を、個々の自動車企業を訪問調査することによって解明するものである。 本年度も昨年度に引続き、トヨタ自動車ほかを取材したが、昨年度に集めたデ-タと本年度に集めたデ-タとを合わせて、本年度はこれを集体成し、まとめあげることができた。 具体的に得られた新しい知見は、(1)新製品(新車)の開発段階における「原価企画」のシステムが新製品の開発プロセスそのものといかなる関係で進行しているのかが解明された。(2)既存製品の製造段階における「原価改善」のプロセスが従来のコスト・コントロ-ルとは全く違っていて、これは原価維持ではなく原価低減をめざすものであり、諸外国には見られない日本独得のオリジナルなシステムであることがわかった。また(3)「原価改善」システムとトヨタ生産方式ないしレジャストインタイム生産方式との関係も究明された。(4)さらに、自動車工場におけるコンピュ-タ統合生産(CIM)の実態を解明し、これが販売業者・メ-カ-・部品サプライヤ-を結ぶ戦略情報システム(SIS)といかに関連づけられているか、またCIMの中で各工場内の各工程は自律性をいかに保証されているかなどについて知見を得た。(5)このほか、この実態調査を通じて、本年度はコスト・マネジメントのシステム以外にも、自動車企業の販売管理システム、財務管理システム、国際生産戦略、組織と人事管理システム等についても解明しえた。 この結果、研究成果は大きく分けて3つのものにまとめあげられた。(A)「自動車企業のコスト・マネジメント・システム」,(B)「自動車企業の経営管理システム」,(C)「自動車企業の生産管理システム」がこれである。その詳細は、次ペ-ジに記した。
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