研究概要 |
(1)コ-ホ-ト分析による農家世帯員数,農業就業人口の予測:通常コ-ホ-ト分析法によりながら松尾村の農家世帯員数と農業就業者数の動向を計測した.資料は国勢調査及び農業センサスを用いた.農家世帯員数は1990年で4280人,うち60才以上25.5%,70才以上10.8%であるが,2000年においてはそれぞれ3672人,36.1%,17.2%と著しい減少と高齢化がすすむ.一方,農業就業者数の方は,1990年1420人,660人46.5%,178人12.5%,2000年1137人,801人70.4%,388人34.1%となり,更に著しい減少率と高齢化が行われる. (2)米価水準の低落による影響農業労働力の予測:第2次生産費より自給費と自作地代を除いたものを「実行生産費」と考え,これと第2次生産費累積分布との回帰分析によって実行生産費の累積分布を推測した.そしてこれと国内自由化米価水準との比較によって,影響(稲作)農家戸数と農業従事者数の計測を行った.米価水準を12,000とした場合,影響農家数は全体918戸の46.4%,影響農業従事者数は1432人という著しい数になる. (3)利潤関数による米価と稲作労働需要関連予測:農林水産省「農業経営(構造改善)調査報告」東北地域個別表を用いて利潤関数を計測した.これによって米価水準の変動に対する稲作個別経営的視点における労働力需要様態が明かにされた.労働/米価の弾力性は意外にも3.22(昭和59年度)とかなり高い値を得た. (4)余剰労働力の利用問題:松尾村は人口問題(老齢化)と農業問題(米価低落)という二大衝撃をうけることになり,現在の稲作生産の組織では村の荒廃が必至となる.そのため,稲作においては村農場方式,そして農業外高齢者用労働機会の開発が必要となり,その具体的方策が検討された.
|