大域解析における諸問題

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01460003
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 小竹 武 東北大学, 理学部, 教授 (30004427)
• 研究分担者: 小野 薫 東北大学, 理学部, 助手 (20204232) ; 新井 仁之 東北大学, 理学部, 講師 (10175953) ; 伊藤 秀一 東北大学, 理学部, 助教授 (90159905) ; 高木 泉 東北大学, 理学部, 助教授 (40154744) ; 加藤 順二 東北大学, 理学部, 教授 (80004290)
• キーワード: 周期的シュレ-ディンガ-方程式 / ヤン・ミルズ汎函数 / 半線型楕円型方程式 / ハミルトンベクトル場 / バ-コフ標準型 / ハ-ディ空間 / ケ-ラ-多様体 / トレリの問題

研究概要

1.偏微分方程式に関するものとしては、非コンパクトなリ-マン多様体上で周期的なポテンシャルをもつシュレ-ディンが一作用素のスペクトルがブロッホの性質をもつための必要・十分条件についての研究、および、ヤン・ミルズ汎函数に付随する匂配流の大域的存在、漸近安定性と接続形式との関連についての研究がある。
2.力学系については、ハミルトンベクトル場の平衡点のまわりでの標準化の問題が、非共鳴条件の下では、ベクトル場の可積分性とバ-コフ標準型の収束性と同値であることの証明、および、有限自由度をもつ積分可能系の特異点の近傍での挙動について、バ-コフ標準型の立場からの研究があげられる。
3.非線型解析の分野では、発生生物学の形態モデルに関係した半線型楕円型方程式に対するノイマン問題について、拡散係数が適当に小さいとき、最小エネルギ-をもつ解の最大値は境界上のただ一点においてのみ達成されるとの結果や、熱伝導を考慮した一般な圧縮性粘性流体の自由境界値問題に対する大域解の存在とその漸近挙動についての研究がある。
4.調和解析、作用素論に関するものとしては、ケ-ラ-計量をもつ強擬凸領域上の調和函数の境界挙動について、古典的なファトウ定理の一般化や、多重連結領域上のハ-ディ空間におけるセゲ-射影とコ-シ-射影の作用素論的同値性の証明があげられる。
5.複素多様体の基礎的研究としては、トレリの問題、すなわち、周期写像の単射性の問題に関して、単連結なコンパクト,ケ-ラ-超曲面の場合に興味ある結果が証明された。

研究成果

• [文献書誌] Hitoshi ARAI: "Boundary behavior of functions on complete manifolds of negative curvature" Tohoku Mathematical Journal. 41. 307-319 (1989)
• [文献書誌] Hidekazu ITO: "Convergence of Birkhoff normal forms for integrable systems" Commentari Mathematici Helvetici. 64. 412-461 (1989)
• [文献書誌] Kazuhiro KONNO: "Generic Torelli theorem for hypersurfaces of certain homogeneous Kahler manifolds" Duke Mathematical Journal. 59. 83-160 (1989)
• [文献書誌] Takeyuki NAGASAWA: "Lp,q-estimates for semi-linear parabolic equations" Tohoku Mathematical Journal. 41. 597-608 (1989)
• [文献書誌] Kaoru ONO: "Equivariant index of Dirac operators" Tohoku Mathematical Journal. 42. (1990)
• [文献書誌] Kazuyuki SAITO: "Representation of C^*-algebra and regular completions" Journal of London Mathematical Society. 40. (1989)
• [文献書誌] Hidekazu ITO: "Action-angle coordinates at singularities for analytic integrable systems" Mathematishe Zeitschrift.
• [文献書誌] Junji KATO: "Compact boundedness in periodic functional differential equations with infinite delay" Proceeding of the Royal Society of Edinburgh.
• [文献書誌] Junji KATO: "Stability via Liapunov functions with discontinuous derivatives" Journal of Mathematical Analysis and Applications.
• [文献書誌] Takeyuki NAGASAWA: "Asymptotical stability of Yang-Mill's gradient flow" Geometry of Manifolds(Academic Press). 499-517 (1989)
• [文献書誌] Kaoru ONO: "Periodic Schrodinger operator on a manifold" Forum Mathematicum. 1. 69-79 (1989)
• [文献書誌] Izumi TAKAGI: "On the shape of least-energy solutions to a semi-linear Neumann problem"