研究課題/領域番号 |
01460014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田邊 徹美 東京大学, 原子核研究所, 助教授 (20013394)
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研究分担者 |
菅井 勲 東京大学, 原子核研究所, 教務職員 (80150291)
野田 章 東京大学, 原子核研究所, 助手 (20114605)
小俣 和夫 東京大学, 原子核研究所, 助手 (00092172)
片山 武司 東京大学, 原子核研究所, 助教授 (30013402)
関口 雅行 東京大学, 原子核研究所, 助教授 (10013393)
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キーワード | 電子捕獲 / 電子冷却 / 重イオン / 中性粒子ビ-ム |
研究概要 |
まずこの研究を開始するにあたって、電子冷却の技術を確立することが不可欠であった。本年度前半は電子冷却の研究に重点を置いた結果、蓄積リングに入射、蓄積された20MeV陽子ビ-ムの電子冷却に成功した。電子冷却に伴って陽子が冷却電子を捕獲して中性となる過程を研究する為に、先ず粒子を蓄積リングから取り出す為の窓及び粒子測定装置の整備を行った。窓部は蓄積リング周回軌道の接線方向に取り付けられた真空枝管端部の超高真空ゲ-トバルブとそれに続く薄膜窓から構成される。この窓から大気中に放出される粒子を次の様な検出器で検出する。1.大口径半導体検出器、2.位置検出型半導体検出器、3.プラスチックシンチレ-タ-、4.位置検出型ガスカウンタ-。1〜3は実際に実験に使用し、4に関しては現在製作中である。検出器からの信号処理系、デ-タ収集系の整備も合わせて行った。実験の結果、リングに蓄積された10^7個の陽子が冷却部を通過する際に毎秒数十個の割合で電子を捕獲し中性となることがわかった。この確率は冷却装置及び蓄積リングの条件によって変化する。更に中性粒子の空間分布を測定した結果、直径約7mmであることが判明した。冷却部でのビ-ムサイズは従って約4mm^φと考えられ、冷却を行わない場合のサイズ100×30mm^2と比較すると冷却によって大幅な圧縮が行われたことがわかる。又冷却前の運動量幅^△P/P〜10^<-3>が冷却によって5×10^<-5>になることが別の測定でわかっている。従って電子温度もかなり低いと思われるが、これは中性粒子生成確立を測れば求められるはずで、この様な測定も準備中である。又、バンチされたビ-ムを電子冷却すると位相空間の急速な圧縮の結果、時間幅の狭いパルス状ビ-ムになるはずで、中性粒子の時間幅からパルス幅が推定できるので、実験の準備を進めている。更に来年度に予定している重イオン電子冷却に伴う電子捕獲現象の研究に関する準備も始めている。
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