研究課題/領域番号 |
01460020
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森信 俊平 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (50016078)
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研究分担者 |
宮武 宇也 大阪大学, 教養部, 助手 (50190799)
下田 正 大阪大学, 教養部, 助手 (70135656)
片山 一郎 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (30028237)
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キーワード | 原子核反応反跳核 / 質量分析 / 陽子過剰核 / 陽子崩壊 / ベ-タ転移確率 |
研究概要 |
原子核反応で生成される不安定核をビ-ム状にして取り出し(以下二次ビ-ムと云う)、不安定核の研究に用いたり、新たな原子核反応の研究に用いる事は、近年、原子核物理学に於て極めて重要な研究手段となろうとしている。申請者等は、この点に着目し、大阪大学核物理研究センタ-に於て、重イオン核融合反応生成核を質量分析して取り出す装置系(反跳核質量分析器)の開発と稼動に成功した。本研究は、この装置から得られる二次ビ-ムを最も実験条件に適合させる制御法を確立し、それを用いて、従来困難であったTz=-3/2、-2核のガモフテラ-β転移確率を実験的に精度良く求める事を目標としている。このβ転移確率は核の陽子崩壊強度から求められ、M1巨大共鳴の性質を明かにする上で不可欠のものである。このため、平成元年度に於いては、先ず、イオン光学的実験と考察に基づく二次ビ-ム制御用電磁石の製作、及び、陽子、β線検出器の適切な組合せの決定と検出系の製作に重点を置き、測定環境の整備に努めた。これまで我々は、二次ビ-ムの制御には四重極電磁石が最も有効であると考えて来たが、実験的に二次ビ-ムの収差を詳細に測定した結果、その一次収束制御には反跳核質量分析器の中の四重極磁場が利用出来、むしろ、二次収差の制御に六極電磁石を製作する方が有効である事を見いだした。一方、陽子、β線検出系の開発に於いては、実験的に核反応収量を調査した結果、陽子検出には半導体検出器、β線検出にはプラスチックシンチレ-タ-が利用出来るが、S/N比を上げるためには両者の同時計測が不可欠であり、更に、高エネルギ-β線の測定に於いては、宇宙線バックグラウンドの低減が非常に重要である事が判明した。この様な結果に基づき、必要な電磁石、真空槽、宇宙線低減用検出系を製作し、現在、その有効性を実験的に検討中である。予備的実験の結果は平成二年春の物理学会に報告する予定である。
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