研究概要 |
キャリヤ-数がないヘビ-フェルミオン物質Sm_3Se_4の極低温磁場中比熱が西独ダ-ムシュタット大学ステ-グリッヒ教授との共同研究が行われ、異常に大きいγ比熱(2.8J/mol・deg^2)を示すことが実験的に非常に明確になった。更にSm_3Se_4,Sm_3Te_4と同系列の物質が系統的に調べられている。 キャリヤ-数が0.1%のヘビ-フェルミオン物質Yb_4As_3は磁場中比熱が1.7K以上で測定され、著しい磁場変化が観測され、磁場によるヘビ-フェルミオン状態の破壊過程が詳細に観測された。又物性研毛利教授との共同研究により、高圧下の電気抵抗の測定が行われ、圧力の増加と共にキャリヤ-数が増大してゆき、それと共に近藤温度が上昇してゆき、この物質でキャリヤ-数の増大と近藤状態との関連について貴重な情報を得ることが出来た。これと平行してYb_4As_<3-x>P_x及びYb_4Sb_<3-x>As_xの系列が調べられたが、圧力と反対にキャリヤ-数の増大はみられず、ヘビ-フェルミオン状態がP,Asのド-プによっても変化せず、むしろYb_4As_3のヘビ-フェルミオン状態は局所的な性質によって支配されていることを示唆しているように思われる。 キャリヤ-数が1%前後のYb,Sm,Ceモノプニクタイトはdilution領域でのドハ-ス測定が行われ、フェルミ面の同定がなされた。 Ybモノプニクタイトについてはフランス,グルノ-ブル原子力研究所のロザミニオン教授との協同研究で中性子弾圧散乱、非弾圧散乱実験が行われ、T_Nが0.5Kと非常に小さいにも係わらず、磁気相関が100K前後まで存在していること、及び磁気モ-メントが約半分にまで減少していること等詳細な測定が行われた。又Ce,Sm,モノプニクタイトはTkが約100Kと通常理論値で与えられる10^<-6>Kの温度をはるかに超えたものを実験は与えており、極小キャリヤ-のヘビ-フェルミオン状態の究明は、近藤状態の解明に大きな手掛かりを与えるという確信がますます深められた。
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