研究概要 |
前年度にはステ-ジ2Ago、 _<15>TiS_2中のAg原子の2次元性を保ったまま短範囲規則する温度領域(250〜350K)において,面内のX線散漫散乱の強度分布を定量的に測定し,2次元の原子対相関々数を求めた。今年度ではその原子対相関々数を用いて,モンテカルロ法による計算機実験を行い,Ag原子の短範囲規則構造を求めた。この結果,350Kではほぼ無秩序な配列をしているが,300K,280Kと温度降下に伴い,秩序化が進み,散漫散乱極大の位置から予測された√<3>×√<3>R30°構造を持つ小さな領域がかなり存在することが判った。一方,低温相では2×2型構造の出現も予測されるが,短範囲規則構造にはほとんど存在していないことが判った。DaumasーHe^^′roldモデルで予測される様に,√<3>×√<3>R30°構造を持つ領域は有限の大きさを持ち,結晶全体には広がらない。以上述べたAg_xTiS_2化合物の他に,いままで報告例のない1TーTiS_2の層間にAg原子を挿入する試みを気相成長法および電気化学的な方法により行なった。温度や溶液の濃度を変えて育成を試みたが,層間化合物を作成することは出来なかった。また,1TーTiS_2にMnを加え気相成長法により育成したMn_xTiS_2(X<1/3)単結晶を用いてのX線散乱実験の結果,ステ-ジ1およびステ-ジ2の存在が確認された。この事実はいままで1TーTiS_2に3d遷移金属を挿入した化合物に対して報告側はなく,はじめてと思われる。現在,この系に対して,Mnの組成と格子定数の関係および相図の作成を進めている。
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