研究課題/領域番号 |
01460030
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 好正 東京大学, 物性研究所, 教授 (10080467)
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研究分担者 |
岩田 康嗣 東京大学, 教養学部, 助手 (10203390)
小林 紘一 東京大学, 原子力総合研究センター, 助手 (70108637)
山下 博 東京大学, 理学部, 助手 (40191291)
小牧 研一郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (40012447)
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キーワード | 表面物性 / 共鳴核反応 / 水素吸着 / タングステン表面 / サブサ-フェイス |
研究概要 |
共鳴核反応の共鳴幅が1.8KeVと非常に狭いことを利用して、表面第1、2層間に存在する水素を検出するためには、〜6MeVの入射イオンの運動エネルギ-の安定性と単色性が重要である。加速器とビ-ムコ-スの間に設置された90°偏向の分析用電磁石の磁場の安定度を向上させた。高安定周波数のrfを用いて磁極間で測定したプロトンNMRのシグナルをフィ-ドバックしている。そして電磁石の出ロスリットの両極間のイオン電流の差を検出し、差をなくすようにフィ-ドバックして加速電圧の安定度の向上をはかっている。しかし、老極化しているタンデム型加速器のため、ゴムベルトを更新する必要が生じたが、その結果高電圧へのフィ-ドバックが効果的に働かなくなってしまった。これはなじむまでの時間の問題と考えている。一方、フィ-ドバックシステムを効果的に働かせるために、ビ-ムコ-スにQ電磁石を設置した。しかしこの効果を確かめる段階に至っていない。研究目的である表面から1層下にもぐり込んだ水素の検出は、W(001)-Hの系で共鳴エネルギ-を設定し、W(110)-Hの水素を検出した。共鳴分布のピ-ク位置は両者は一致した。そして、前者は分布が対称的なのに対して、後者は高エネルギ-側にふくらみのある非対称な分布をしている。これは再現性よく観測され、このふくらみは1層下の水素の存在を示している。そこまでの入射イオンのエネルギ-損失は〜4KeVである。この値は表面プラズモンの効果を考えると説明できる。しかし、上述したように加速器へのフィ-ドバックがうまく行っていないため、W(001)-Hの系でも幅がW-Hの振動に伴うドップラ-拡がりによる幅より広くなっている。W(001)-Hをドップラ-幅に収める測定が出来ると、W(110)-Hでピ-ク分離が可能になり、結果の信頼性が向上する。現在その努力を続けている。
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