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1990 年度 実績報告書

擬一次元混合原子価白金錯体を用いたポ-ラロン及びソリトンの研究

研究課題

研究課題/領域番号 01460032
研究機関横浜国立大学

研究代表者

栗田 進  横浜国立大学, 工学部, 教授 (30089833)

研究分担者 八木 幹雄  横浜国立大学, 工学部, 助教授 (00107369)
キーワードポ-ラロン / ソリトン / 白金鎖体 / 一次元物質 / 光誘起吸収 / 光誘起欠陥
研究概要

ハロゲン架橋混合原子価白金錯体が二重縮退構造をもつ一次元鎖であることに注目し、この鎖上に生する素励起状態を研究した。
電荷移動吸収帯を光強励起するとバンド間に2つの吸収帯が現れること、この光励起欠陥はスピンをもつことを発見した。一方、ハロゲンド-ピングは先の光励起と同じ光吸収及びスピン共鳴吸収を引起こし、電気伝導も増加することを見い出した。これらの結果と光誘起吸収が鎖方向に強く偏光していることから欠陥は、鎖上にできた電荷とスピンを持つポ-ラロン(光励起の場合はポ-ラロン対)状態であることがわかった。
電気伝導を支配しているのは、ポ-ラロンの鎖間ホッピングであること、ホッピングは鎖間に入ったハロゲンド-パンドを中継点としていることを光キャリ-の飛行時間法による移動度測定から明らかにした。
ポ-ラロン対のダイナミックスを熱発光及びESR温度依存性より明らかにした。すなわち、光強励起によって結晶中に形成された多数のポ-ラロン対が、その後の温度上昇によって対消滅する際に発する熱発光及びESR信号の滅少を測定した。その結果、ポ-ラロン対はポテンシャル障壁0.12eV、頻度因子2×10^3(sec-1)を得た。これからポ-ラロン対の寿命は室温で0.1秒、77Kで10^6秒程度であることがわかった。
高ド-プによって生じた高密度ポ-ラロンはP^++P^+→S^++S^+(バイポ-ラロン)の反応が起こることを見い出した。このことからハロゲン架橋白金錯体においてもソリトン生成エネルギ-はポ-ラロンより小さいことがわかった。
以上の結果は[Pt(en)_2][Pt(en)_2X_2](ClO_4)_4,X=Clの結果であるが、トランスファ積分がより大きなBr,I化合物においては光励起欠陥は不安定で、X=BrではESRスペクトルはsingle lineとなり、ポ-ラロンは鎖状を自由に運動していることがわかった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] H.Oshio: "Structural,Magnetic,and Optical Studies of New MixedーValence Copper(II)ーPlatinum(IV) Complexes with OneーDimensional chain Structures." J.Chem.Soc.DALTON TRANS.1013-1017 (1990)

  • [文献書誌] L.Degiorgi: "Phonons in OneーDimensional PeierlsーHubbard Systems." Phys.Rev.B42. 4341-4350 (1990)

  • [文献書誌] S.Sato: "Structure of Bis(ethylenediamide)Platinum(II) Dichloride." Acta Ctyst.C46. 1107-1108 (1990)

  • [文献書誌] S.Sato: "Structure of transーDichlorobis(ethylenediamine) platinum(IV) Perchlorate,transー[PtCl_2(NH_2CH_2CH_2NH_2)_2)]" Acta Cryst.C46. 1812-1815 (1990)

  • [文献書誌] S.Kurita: "Polaronic States Induced by Photoーexcitation and Halogenーdoping in Quasiーoneーdimensional,Mixedーvalence Platinum Complexes." Synth.Metals. (1990)

  • [文献書誌] K.Toriumi: "Phase Transitions of the Halogenーbridged M(II)ーXーM(IV) Mixedーvalence Compound of [M(en)_2][MX_2(en)_2](ClO_4)_4(M=Pt,Pd;X=Cl,Br)" Acta Cryst.Sect.B. (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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