研究概要 |
ウランと遷移金属との化合物なかでもUM_3系は重い電子の磁性・超伝導体として知られるUPt_3を含み、さらにMとともにその磁気的性質は大きく変ることで注目される。我々はそのなかで結晶構造や物性が未知とされていたUAu_3化合物について、試料作成とX線回折、磁気・伝導・比熱測定の結果、as-castのUAu_3試料は斜方晶TiCu_3型構造を持ち重い電子の反強磁性(T_N=10K)であること、一方450℃以上の温度で熱処理した試料は六方晶PuAg_3型で重い電子の弱い強磁性体(Tc=22K)を示すことを明らかにした。しかしこの段階でU-Au系の新相図が発表され、旧相図のUA_3とU_2Au_3ではなくU_<14>Au_<51>とUAu_2の二化合物であると報告された。この報告を受け我々は新しくU_<14>Au_<51>(=UAu_<3,64>)とUAu_<3,3>およびUAu_2のas-castと熱処理した試料を作成し、広い温度・磁場範囲(0.4〜300K,0〜8T)で諸実験を行った。その結果、六方晶Gd_<14>Ag_<51>型のU_<14>Au_<51>は重い電子の反強磁性体(Tc=22K)であり、この相の他に斜方晶TiCu_3型UAu_3相も高温相として存在することを確認した。また六方晶のUAu_3についてはU_<14>Au_<51>と相違点もあるが類似点も多く、両者の構造上の区別は困難であった。さらにUAu_2については新たに重い電子系の化合物であることを見い出した。以上の成果は本年4月に大阪で開催される国際会議MPT90に発表する予定である。 U-Au系以外ではU-Pd系、U-Ph系、U-Os系の各種化合物について研究を進めている。なかでも立方晶AuCu_3型UPd_<4+x>系(-0.25【less than or equal】X【less than or equal】0.2)はXとともに反強磁性転移の性質が著しく変わることを見い出した。以上の結果も上記の国際会議で発表する予定である。UPd_3,URh_3およびUPt_3については現在試料作成を行いつつある段階である。
|