研究概要 |
我々は前年度にUーAu系化合物について新旧相図の再検討を含む系統的実験を行い,新相図(1989年)で提案されたU_<14>Au_<51>の他に旧相図のUAu_3も存在することを示し,その高温相と低温相の結晶構造と物性を明らかにした。この研究の発展として本課題からややそれらが,一つはウランとVIII族遷移金属との二元系化合物について結晶構造や物性がよく調べられていないものの解明をめざして系統的実験を行った。その結果,URhは弱い強磁性となること,U_5Pd_6は重い電子系反強磁性体であること,UOs_2は熱処理によりC15型からC14型に変ること等を明かにした。さらにUーPd系各化合物は概して局在磁性的振舞を示すことが判った。もう一つは擬二元系のU_<14>Au_<51ーx>Cu_xとURh_<1ーx>(Os,Ru)_xについて実験を行い,前者はxの増加とともに格子定数は減少し,それに伴い近藤効果的振舞は顕著になりT_Nは減少することを見いだした。後者はxとともにTcは減少してx=0.3で強磁性は消失し著しいスピン揺動効果を示した。上記の数化合物について磁場中比熱測定を行い,磁気転移温度の磁場効果(8Tまで)について明らかにするとともに,40Tまでの超強磁場磁化測定によりいくつかの化合物でメタ磁性的振舞を見いだした。 さらに我には新しく三元系のウラン化合物として正方晶ThMn_<12>型UCu_<4+x>Al_<8-x>をとりあげ,0【less than or equal】x【less than or equal】2でThMn_<12>型の単相試料を作成してきた。系統的実験の結果,xの増加とともに反強磁性転移点T_Nは35Kから著しく減少してx=1.5でT_Nは消失すること,低温比熱測定よりこの系は重い電子(HF)系に属すること,HF的振舞はx=1.5〜2.0で特に顕著となることを明らかにした。UCu_<4.5>Al_<7.5>については ^<27>AlのNMR測定を行い,Alサイトの電子構造やUの反強磁性モ-メントについて重要な知見を得た。現在低温・磁場中比熱測定や超強磁場磁化測定により上記の反強磁性と重い電子系に対する磁場の効果について系統的に調べている。
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