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1989 年度 実績報告書

異方的価数揺動物質CeNiSnにおけるエネルギ-ギャップの起源

研究課題

研究課題/領域番号 01460035
研究機関広島大学

研究代表者

高畠 敏郎  広島大学, 総合科学部, 助教授 (40171540)

研究分担者 鈴木 孝至  広島大学, 理学部, 助手 (00192617)
前野 悦輝  広島大学, 理学部, 助教授 (80181600)
桜井 醇児  広島大学, 理学部, 助教授 (30033814)
藤井 博信  広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
キーワードセリウム化合物 / 価数揺動 / エネルギ-ギャップ / 重い電子系 / 帯磁率 / 電気抵抗 / 熱電能 / 比熱
研究概要

エネルギ-ギャップを持つ新しい型の価数揺物質であるCeNiSnにおける、ギャップ形成機構を解明するために、本研究で初めて育成された単結晶試料の伝導及び磁気的特性を調べるとともに、多結晶試料での比熱及びNMR測定を行なった。
まず、トリア-クチョコラルスキ-法によって、3φ×20mmの単結晶CeNiSnを育成した。この電気抵抗、熱電能、帯磁率を、当科研費の補助を受けて整備した3Heデュア-及び測定機器を用いて測定し、これらの物性がいずれも顕著な異方性を示す事を明らかにした。既ち、a軸方向の電気抵抗と帯磁率は、12Kでピ-クを呈し、他方、C及びa軸方向の熱電能は3Kで極めて鋭いピ-クを持つ。また磁気比熱比は6.7Kで0.19J/K^2molという大きな極大値を持った後、低温側で急激に減少する。
以上の実験事実から、CeNiSnの電子状態は温度の低下と共に、次の様に遷移していくものと推論される。
(1)高温ではインコヒ-レント近藤効果を示す異方的価数揺動状態にある。
(2)12K付近で、a軸方向に反強磁性的スピン相関が発達するとともに、準粒子の質量増強が起こる。
(3)このスピン相関は6K以下で異方的エネルギ-ギャップの形成を促す。
(4)3K付近でフェルミエネルギ-での準粒子状態密度の形が大きく変化するが、さらに低温までギャップ内に状態密度が残存する。
このように、質量増強された4f電子系の基底状態として、擬ギャップを形成する新しいタイプの基底状態が存在することが、本研究によって初めて明らかにされた。
今後は、擬ギャップを形成がどのような反強磁性的スピン相関及び混成効果によって起こるのかを明確にする為に、良質単結晶を育成し磁場中比熱、磁気抵抗、中性子散乱、光電子分光などの実験を行なう。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] T.Takabatake: "Formation of an anisotropic energy gap in the valence-fluctuating system CeNiSn" Phy.Rev.B. B41. (1990)

  • [文献書誌] J.Sakurai: "Thermopower of Several Ternary Compounds of Cerium and Uranium CeTX and UTX(T:Ni,Pd or Pt and X:In or Sn)" J.Phys.Cond.Matt.2. (1990)

  • [文献書誌] M.Kyogaku: "NMR Investigation of Energy Gap Formation in the Valence Fluctuating Compound CeNiSn" J.Phys.Soc.Japan. 59. (1990)

  • [文献書誌] T.Takabatake: "Anisotropic Kondo Effect and Crystal-Field Effect in CeNi_2Sn_2" J.Magn.Magn.Matt.84. (1990)

  • [文献書誌] M.Kyogaku: "Magnetic Phase Transition in CeTSn(T=Pd,Pt and Ni)" J.Magn.Magn.Matt.84. (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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