研究課題/領域番号 |
01460043
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹田 和義 九州大学, 工学部, 助教授 (10029548)
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研究分担者 |
瓜生 典清 九州大学, 工学部, 教授 (60037702)
井戸垣 俊弘 九州大学, 工学部, 助手 (40038013)
出口 博之 九州大学, 工学部, 助手 (30192206)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | ハバ-ドハミルトニアン / 有機ラジカル結晶 / 低次元格子磁性体 / 加圧効果 / 量子スピン系 / 非局在不対電子 |
研究概要 |
本研究は低次元ハバ-ドモデルを具現する可能性を求めて低次元有機ラジカル結晶の加圧下・磁場下における磁性の研究を行った。 (1).非局在不対電子をもつトリフェニルフェルダジル(TPV:T_N=1.70K)及び局在不対電子をもつタノ-ル(T_N=0.49K)の常圧下での比熱帯磁率の測定を行い、磁気的特徴を明らかにした。両物質ともに擬一次元ハイゼンベルグ反強磁性体(S=1/2)で近似できることが明らかになった。しかしながら、TPVは単なるハイゼンベルグモデルでは完全には記述できず、相互作用のフラストレ-ション効果、又は電子の非局在性を考慮しなければならぬことが判明した。 (2).TPVについて6kbarまでの加圧下における磁気転移温度T_N(P)の変化を測定し、磁気相互作用J(P)の圧力依存性を調ベた:T_N(P)=T_N(O)(1+0.11P)となり、磁気的に無機化合物より一桁程度やわらかいことを見出した。T_N(P)×J(P)であり、Jは不対電子のオンサイトク-ロンポテンシャルUと波動関数のしみ出しにかかわる移動積分tと、J×t^2/Uで結ばれているので、ハバ-ドハミルトニアンのパラメ-タ-が有意に制御できる見通しを得た。しかし理論(例えば、斯波・高橋等)と、今回の実験との対応はまだ出来ていない。 (3).その他の有機ラジカルの加圧下の実験として、PーClーBDPA,及びタノ-ルについても転移温度の圧力効果を調べ、電子の非局在性をねらったが、磁性そのものは変わらず、他の物性の発現までには到らなかった。しかし、加圧による波動関数の重なりの制御には充分な可能性を見出した。上述した試料は、いわゆるハ-フフィルドの電子密度を有する系であるが、非ハ-フフィルド系の試料は合成の途上にあり、今しばらくの時間が見込まれる。研究の成果は、ハ-フフィルド系についてとりまとめてある。
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