研究課題
本研究の主目的は、西太平洋地域において広帯域・広ダイナミックレンジ・ディジタル地震観測網を配置して、その運営を開始するための具体的方法を検討することにある。本年度は、観測点配置予定国のインドネシア及びソビエトの関係者との交渉が進行し、協力機関・実務者の選定地震計の配置点の選定などについては、ほぼ目処が付けられた。ソビエトに設置する広帯域・広ダイナミックレンジ地震観測システムについては、米国地質調査所より貸与を受けるための交渉が順調に進展している。地震観測システム・デ-タ収録システムの開発を行なうため、東京大学地震研究所筑波地震観測所に、広帯域・広ダイナミックレンジ地震計を設置して観測を開始した。地震観測システムは超高性能地震計STS-1・A/Dコンバ-タ・高精度時計装置及びパ-ソナル・コンピュ-タにより構成され、システム全体で140dBのダイナミックレンジを確保している。デ-タは5Hzサンプリングで連続デ-タとして収録している。デ-タ収録システムは、この連続デ-タを1日2回公衆回線を用いて自動的に東京大学地震研究所の地震予知観測情報センタ-に転送するように作られている。この際、デ-タ蓄積の効率を上げるため独自のデ-タ圧縮方式を開発、採用している。上記の観測・収録システムは現在順調に稼動しており、広帯域・広ダイナミックレンジ地震観測システムを安定的に作動させるための設置条件や、大量デ-タ転送方法について多くの知見が得られている。さらに、これらの地震波デ-タから即時に地震の規模とメカニズムを決定する新たな解析方法の開発を進めている。デ-タ・ライブラリについては関連する諸機関との連絡をとりつつ、その具体的方針について検討を開始した。
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