研究概要 |
貯水ダムの水位変化による水圧変化が湖底岩石のピエゾ磁気効果によってダム周縁にどの様な磁場を作るかを明らかにすること,また恐らく多少は存在するであろうダムの漏水が流動電位現象を通じてダム周辺に作るであろう地電位差変化を檢出することを目的に鳥取県日野郡の菅沢ダムにおいて約2ケ年にわたり地磁気・地電位差観測を行った。観測期間中、器械の故障,ケ-ブルの断線等の事故もあったが観測は全体としておおむね順調に進行した。また,たまたま観測点のほぼ直下を震源とするM=5.3の地震発生があり,これに先行して生じた地電位差の観測に成功した。我々は更に確実なデ-タを得るために1991年末まで観測を続行する予定であるが,現在までに得られた事柄は以下のとおりである。 1.ダム湖底岩石のピエゾ磁気に起因すると考えられる磁場変化の存在を確かめることができた。すなわちダム周縁の磁場は高水位時に減少,低水位時に増大し,圧力係数は岩石の室内実験から期待される値よりはるかに大きく,-0.013〜-0.065である。この値はDAVISらが得た値とほぼ同程度である。2.ダム水位の変化に対応して流動電位の変化が生ずるか否かに関しては,電極のドリフトや欠測などのためはっきりしない。1991年いっぱい観測を継続して信頼できるデ-タを得てこのことの結論を出したい。3.本研究における観測期間中に,たまたま菅沢ダムの北東約4kmに発生したM=5.3の地震に約半時間先行して約50mVの地電位差変化が認められた。この変化は,観測に用いている3本の電極中の1本に電位低下が生じたことを示している。この変化は,観測に用いている3本の電極中の1本に電位降下が生じたことを示している。この変化は気象影響または電車等の人工ノイズによるものとは考えられない。
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