ENSO(エル・ニ-ニョ/南方振動)に代表される、熱帯太平洋上の大気・海洋相互作用が、インドモンス-ンに代表される夏のアジアのモンス-ン変動と密接に関連していること、その卓越する時間スケ-ルが2-3年のQBO(準二年振動)を基本としていることが、過去約20年間のモンス-ン降水量、海水温、大気循環系(風系)の統計的解析により、明らかとなった。 この対流圏のQBOはまた、熱帯成層圏の東西風に見られるQBOとも、密接にリンクしている可能性も、成層圏から対流圏下層に至る東西風の変動の解析により、強く示唆された。 さらに、このQBO的な振動をする、モンス-ン/大気・海洋の結合システムは、ユ-ラシア大陸の積雪変動と、インドモンス-ンを媒介として連けいしていることも示唆された。即ち、冬から春のユ-ラシア大陸の積雪は、引き続く夏のインド(アジア)モンス-ンの強弱に作用し、モンス-ンに伴う大気の熱帯東西循環系を経由して、西太平洋の海水温分布に影響するというリンクである。事実、ユ-ラシアの4月の積雪(NOAA/NESDISによる)変動と、翌冬の西太平洋の暖水域における混合層水温変動のあいだに、非常に高い負相関のあることが判明した。
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