研究概要 |
伊豆小笠原海溝の底層流と温度・塩分・密度の観測値は次の通り得られた。流速については1987年11月にTR1(北緯34度、東経141度20分、水深6360m)、TR2(北緯34度、東経141度53分、水深8990m)、TR3(北緯34度、東経142度33分、水深5830m)に設置した係留系は1989年1月に回収し、同じく3点に設置した。1990年2月は悪天候のために作業時間が制約され、TR2とTR4(北緯34度、東経141度10分、水深4620m)の2点に設置した。1991年3月にこれら2点を回収し、TR1,TR2,TR3,TR4の4点に設置した。1992年4月の航海で回収を予定している。測流層はTR2が底上3000mまでに4層、他は底上400mまでに2層である。わたくし達が開発したチタン容器の超深海流速計を主体にしたが、6000m以浅には従来のア-ンデラ流速計を使用したためにデ-タは22台中17台しか得られなかった。今年度はこれらのデ-タ解析を行い、TR1では南向き3cm/sec、TR2では南向き2ー3cm/sec、そしてTR3では北向き17cm/secの平均流があり,海溝内の反時計まわりの循環が明かになった。 1991年2月に伊豆小笠原海溝の最深部で8000mまでのCTD観測を行った。現在の剛線ケ-ブルではこれ以上ワイヤ-を繰り出すことはできない。現場温度は断熱圧縮のため底層ほど高温であるが,状態方程式によって算出したポテンシャル温度は底層で僅かに低下することが示された。ポテンシャン密度は密度は式の精度では一定であった。北緯24度、47度の最下層と比べるとその中間にあり、海水の起源は南方にあることが推定された。
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