研究概要 |
交付申請書に記載したとおり,本研究の目的は,偏光顕微鏡観察による配向ベクトルの構造解析およびX線回折による層構造の解析を行ない,強誘電性液晶における光スイッチング機構を解明することである.昨年度,いわゆる表面安定化(S__ーurface S__ーtabilization:SS)に対し,反強誘電性安定化(A__ーntiーF__ーerroelectric S__ーtabilization:AFS)の重要性が明確になり,この線に沿った実験をも取り込み研究を行なった. (1)主要設備として購入したPSPCシステムおよび温度制御オ-ブンを調整・稼働させ,電界を印加しながらX線回折実験を再現性よく行なえるようにした.ただし,動的な測定は今後の課題である. (2)50〜100μm厚のガラス基板間に,スメクティック層が基板と平行になるよう液晶を配向させ,ラインフォ-カスの条件化で層間隔に対応したブラッグ反射の温度変化をきちんと観測できるようになった.ナフタリン系の混合液晶について実際に測定を行ない,層「く」の字変形は層間隔の変化に起因することを定量的に確認し,室温で変形が回避されている原因を明らかにした.(Jpn.J.Appl.Phys.<29>___ー(1990)L984ーL986およびMol.Cryst.Liq.Cryst.(1991)印刷中) (3)4ー(1ーtrifluoromethylheptyloxycarbonyl)phenyl4ー(5ーdodecyloxypyrimidinー2ーyl)bonzoate(TFMHPDOPB)のS体とR体とを混合し,層間隔がSmA相においても光学純度に依存することを確認し,反強誘電性安定化の解明に端緒を見出した.(Jpn.J.Appl.Phys.<30>___ー(1991)投稿中)
|