研究概要 |
われわれの開発したLiNbO_3を用いた透明トランスジュ-サ法PASは非常に感度が良いという特徴はある。しかし、LiNbO_3には圧電性と焦電性があるので、物理定数の定量的評価をするためには、その効果を分離する必要がある。そこでZー,128°回転Yー、Yーcut板の3種類のトランスジュ-サを用いて実験を行った。その結果、zーcut板では焦電効果が信号の発生に寄与していること、また理論解析ではトランスジュ-サと試料の間に熱抵抗を考慮する必要のあることを明らかにした。これらの結果だけでは、Yーcut板の信号は圧電効果によるものであると断言出来ないが、理論計算にしたがって焦電効果が無視できれば、ヤング率、熱膨張係数等の弾性的性質にはyーcut板で、また熱伝導率、熱拡散係数等の熱的性質にはZーcut板でそれぞれ分離して評価ができる。このように、このように物性評価に適したトランスジュ-サを選べば、より高感度で正確な評価がきたいできる。 次にzーcut板に対して空気層の影響を除去できる測定方法がないか検討した。トランスジュ-サに吸収が無い場合には、励起光をトランスジュ-サを通した表面からと試料裏面に直接照射し、両者の振幅信号の比または位相信号の差を求めると空気層の影響を除去できることを理論的に明らかにし実験値と比較した。この方法でSiウエハ-に対する熱拡散率を推定し文献値と同程度の値となった。
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