研究課題/領域番号 |
01460077
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中島 尚男 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20198071)
|
研究分担者 |
川原田 洋 大阪大学, 工学部, 助手 (90161380)
伊藤 利道 大阪大学, 工学部, 助手 (00183004)
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50189528)
|
キーワード | 多孔質シリコン / ガリウムヒ素 / 分子線エピタキシャル成長 / 光電子分光 / 高速イオン散乱法 / 反射高速電子回折 / 初期成長過程 / 欠陥の低減 |
研究概要 |
Si上へのGaAsエピタキシャル成長は格子定数および熱膨張係数の差により、多くの転移などの欠陥が導入される。この欠陥を低減するために本研究では多孔質Si上へのGaAs分子線エピタキシャル成長を試みている。その結果、本年度は以下のような結果が得られた。 (1)Si結晶を弗酸中で電解エッチすることにより得られる多孔質Siの孔の大きさは形成時の電流密度によって決まる。現在のところ20mAの電流密度で形成した20μm厚の多孔質Si層を用いることが最適であると判明した。 (2)反射高速電子線回折法(RHEED)、X線光電子分光法(XPS)、紫外線光電子分光法(UPS)および高速イオン散乱法(HEIS)を用いて多孔質Si上のGaAs分子線エピタキシャル成長の初期過程の解明及び欠陥の評価を行なった。その結果、表面を水素で覆われて安定な多孔質Siはエピタキシャル成長時の温度で水素が解離し、不安定となり形態が変化し、(100)面を使用しても(111)、(311)といった面を持つファセットが形成されることが分かった。このため異なった面上に成長したGaAsは異なった方向に格子定数が緩和されるため、この異なった面に成長したGaAs結晶がぶつかった点で多くの欠陥が発生することが明らかになった。 (3)このファセットの形成は非常に薄いSi酸化膜で孔の側面を保護することにより防げるので、薄いSi酸化膜の形成条件及びGaAsを成長する表面上の酸化膜除去条件を確立した。この薄いSi酸化膜で保護された多孔質Si上にGaAsをエピタキシャル成長し、鏡面を得ることに成功した。このGaAsエピタキシャル成長層をX線回折法で評価した結果、湾曲の大きさが従来のSi上へのGaAs成長層と比較して約1桁小さく、熱膨張係数の差による熱的歪等が、多孔質層によって十分緩和されていることが判明した。今後、透過電子顕微鏡などにより、このGaAsエピタキシャル成長層中の欠陥を評価する予定である。
|