研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き自由表面を持つガス中蒸発微粒子及び,固定表面を持つマトリックス中に〓め込まれた微粒子について広範な分光測定を行い,以下のような微粒子表面層に関する情報が得られた。 (1)CdS超微粒子:ガス中蒸発法で作製したCdS微粒子は自由表面を持つが,この表面に摂動を与えるためにi)KBr粉末と混合しプレスする,ii)ポリスチレン中に〓め込む,iii)SiO_2中に〓め込む事を試み,ルミネッセンススペクトルの変化を調べた。特に赤色発光ピ-クの温度依存性は,上記i)ii)iii)の処理に対して異った応答を示した。これは,異った処理に応じて表面電子状態が変化しており,この変化が赤色発光を通じて観測されたものと考えられる。 (2)マトリックス中のGe超微粒子:本年度はマトリックス物質をAl_2O_3に選び,Ge微粒子の〓め込みを試みた所、良好なGe微粒子試科が得られた。この新しい試科についてラマン散乱を測定した所,昨年度測定したSiO_2中のGe微粒子の場合とは,ラマンピ-ク位置,半値幅スペクトル形状に於いて,大きく異なる結果が得られた。この違いの最も大きな原因としては,Al_2O_3マトリックスは結晶であるが,一方SiO_2マトリックスは非晶質であることが考えられる。これにより,微粒子表面層及び内部が受ける応力に差異が現われ,ラマンスペクトルが大きく変化したものと思われる。 (3)微粒子表面層の赤外分光:微粒子表面に形成される酸化層,微粒子表面に吸着させた分子等の赤外スペクトルをその場観察するために,赤外insitu測定用チャンバ-を設計、製作した。現在真空排気系の立ち上げをほぼ終了し,次年度からは実際の測定を開始できる段階に至っている。
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