研究概要 |
"表面断熱とアクティブ冷却による工作機械の熱変形制御"について本年度は以下のような研究を行った結果,種々の有用な結果が得られた.(1)工作機械の熱源の位置の探査に関して検討を行った結果,工作機械構造の任意の5ヶ所の温度振幅や位相を測定することによって,熱源の位置と熱源での発熱量を計算により求めることができる.なお,本方法では熱源の位置を幾何学的に求めるため,各温度測定点は同一の構造物内にある方がよい.具体的には,各温度測定点は,主軸頭,コラム,ベッドなどに分散していない方がよい.(2)アクティブ冷却素子の性能に付いて,実機の主軸部の大きさのモデルを使ってシミュレ-ションを行った結果,軸受の発熱量に応じて温度をコントロ-ルした冷却水を熱源近傍に流すことによって工作機械主軸部の熱変形を制御できることが明かとなった.さらに,軸受の総発熱量に対する内輪側,外輪側の発熱量割合をある程度明らかにできたので,軸受の内輪側,外輪側を各々の発熱量に応じてアクティブ冷却できることが明かとなった.(3)内部及び外部熱源の発熱量が変動した際の冷却性能及び断熱性能に付いて調べた結果,本方法は内部及び外部熱源の発熱量の変動に十分対応できることが明かとなった.以上の結果から,本研究で提案した"表面断熱とアクティブ冷却"により工作機械の熱変形を十分に制御できることが明かとなった.
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