中大形工作機械用の高速・高精度テ-ブル送りを実現するために、機能の独立性の原理に基づき、従来のサ-ボモ-タとボ-ルねじによる送り機構に加え、油圧アクチュエ-タを併置した送り機構を考察し試作した。昨年度は基礎的性能確認実験により、たとえば、送り速度20[m/min]のランプ入力における5%静定時間47[ms]という性能が確認された。しかし、油圧の入力信号として速度の微分値を用いていたために、円弧補間時など比較的にゆっくりとした加減速の行なわれる場合には効果がなく、逆にシリンダの粘性低抗によって、モ-タの負荷を増加させる結果となった。 そこで、今年度は油圧指令値に速度に比例した信号を用いて粘性低抗に応ずる油圧制御を行なった。その結果、送り速度10[m/min]、半径100[mm]の円弧補間において、平均半径誤差71[μm]を維持したまま、シリンダの低抗によるモ-タ負荷をほぼ完全に軽減できた。またシュミレ-ションの結果、周波数0.1[Hz]におけるレセプタンスが2.42[μm/kgf]から2.10[μm/kgf]となり、約10%サ-ボ剛性が向上することがわかった。 また、油圧指令値に用いる入力信号の違いで、システムの応答に特徴を持った効果が現われることがわかり、要求される機能に応じた油圧指令信号の選択方法が提案された。 さらに速度に比例した油圧指令ゲイン係数を、運動の状況によって変化させることにより、簡易に適応制御が行なえる方法も提案された。
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