本研究は、 自由曲面の離散化測定値の情報処理と自由曲面を離散的に計測する精密計測システムの開発を目的としたもので、 得られた成果は以下のようにまとめられる。 (1)自由曲面計測システムの性能向上とシステム化 前年度開発した自由曲面精密計測システムに、試料姿勢自動設定機構を設計し、改造を行った。このシステムの特徴は、自由曲面形状を測定している途中で試料の姿勢を判断し、どの程度姿勢補正をすべきかを決定するアルゴリズムと制御機構からなっている。ハ-ドウェア構造はすべての制御軸が0.1μmの分解能で迅速に駆動できるようになっている。一方、制御のためのソフトウェアは、少量の測定デ-タによっても確実な補正が行えるように、Fuzzy制御を適用した。この制御の後件部は人間の勘と技能を繰り返し調査し決定している。これによって、フィ-ドバック制御による場合の1桁以下のデ-タ量で確実な姿勢制御が行えるようになった。 (2)デ-タ圧縮のアルゴリズムの整備と機能向上 自由曲面の測定デ-タには、偶発的な誤差と離散化による誤差が含まれる。これを除くために前年度開発した三次元スプライン関数の最適割り当てアルゴリズムを発展させ、スプラインパッチ同士を滑らかに連ねる手法の開発を行った。この手法は、マトリクスウェイティング方式であり、隣同士の重なり点に適切な尺度をもつ重み関数を与え、滑らかさを表現できるようにした。さらに、このように三次元スプライン関数化によって表現された自由曲面のグラフィクス表示が行えるようにした。
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